暗い暗い海の底
 ――キラキラ男は、彼の部下だったのか。

「主任の奥さんですか?」

「そう。俺の妻」
 そこでまた彼は私の腰を抱き寄せた。こうやって人の前では仲の良い夫婦であることを見せつけているのだ。

「肉が焼けたところだが。罰としてお前には肉無しだな」

「酷いです、主任」

「俺の奥さんの手を煩わせた罰だよ」
 言いながら、彼は私の腰に回している手にギリギリと力を入れていた。

 これは、家に戻ってから彼が暴れる前兆だと思いながら、軽く息を吐いた。

< 7 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop