チューリップラブ






助手席のドアを開ける玲央は知らない大人の男性だと、少し戸惑いを感じる。昨日は変わらないと思っていたのに、11年も経てば変わって当たり前か…。

そして、座席に座った私に差し出された…綺麗にラッピングされた1本のチューリップ。紫色のチューリップ。

どうして紫?どうして1本?色も本数も考えた?

紫のチューリップの花言葉…不滅の愛
チューリップ1本の意味…あなたが私の運命の人

当の本人は澄まして運転を始めたけど、私はドキドキしてる…何なんだ、昨日から…

「ちゃんと水は上がるように包んであるけど、そんなに握りしめるなよ。折れそう」
「あ…ごめん」
「店にもチューリップあったな。いつも?」
「うん」
「年中買えるのか?」
「国産のものは短い期間だけど輸入ものが大抵あるよ」

話をするうちに着いた焼き肉屋さんの駐車場で

「これ、持って行っていい?車にポツンとは可哀想」
「可哀想だな」

玲央はそう言って笑い私の頭をポンポン…11年経っても変わらないリズムでポンポンとした。
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