チューリップラブ






お二人がいいと言って下さったのでバッグから一枚の紙を出してお渡しする。

「プレゼンする気満々だね」
「お客様の邪魔はしません。お願いします」
「はい、いいよ。どうぞ」
「花の情報に関しては間違いがあればご指摘お願いします」
「はい」
「チューリップの販売促進キャンペーンを月間でされませんか?というご提案です。12月から3月が国産チューリップのおよその販売期間ですね?」
「そうだね、4月は遅いって感じになるね」
「12月と3月は何かと贈り物などでお花屋さんは忙しいと思うので1月か2月にいかがでしょうか?内容は…例えばチューリップ5本でこのコースター、10本でこのカードをノベルティとしてプレゼントするといったものです。こちらの利益率が把握出来ないので、チューリップの本数やこのカードなどはあくまでも例えですが」

私がそう言うと、奥さんがコースターとカードを手に取った。

「ノベルティなんて考えたことなかったわ…若い人のアイデアは斬新ね」
「いえ…若いってほどでもなく…ただ必死な個人事業主なだけですけど」
「お店大変?」
「まだアルバイトをしているくらいには大変です」
「それでお店の商品を少しでも販売しようってことね?」
「その通りです。営業に参りました」

私が頭を下げるとオーナーのご主人が私に聞いた。

「カフェじゃないのにコースターっておかしくないか?カードも一応プレゼント用にすでにあるが?」
「もちろんこれは例えばです。コースターはグラスやピッチャーなどに花を入れてテーブルに飾るのに使えると思います。カードは一年中同じものではなく、こういうチューリップ柄のものでちょっとした差別化戦略になると考えました」
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