憎きセカンドレディに鉄槌を!(コミカライズ原作『サレ妻と欲しがり女』)
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 翼くんとラインのやり取りを数回して、やっと彼に逢うことができたのは、それから一週間後だった。

 私からラインをしても、返事が返ってくるのは半日後が常で、忙しいことがわかっているからこそ彼に逢えるってだけで、妙にテンションが高くなってしまう。

 それを隠しながら、良平きゅんのお世話をするのが、どんなに大変だったか――。機嫌を損ねない程度に愛想よく送り出したあと、翼くんに逢うためのヘアメイクやお化粧をバッチリ施して、鏡の前でファッションチェックを念入りにした。

(二の腕がうまいこと隠せるのはもちろんだけど、スタイルがよく見えるデザインのこのワンピで、翼くんを悩殺しちゃうもんね♡)

 襟ぐりが大きく開いてるワンピは、上から見ると胸の谷間が絶対目につく。それを見て興奮して、あのカッコイイ顔でキスされたりしたら、それだけでイっちゃうかもしれない。

「くふふっ、人妻に手を出す翼くん。悪いコなんだからぁ」

 そんな想像をいろいろしながら、弾んだ足取りでこの間の公園に向かった。約束の時間前だというのに、翼くんはすでに来ていて、ベンチに腰かけながらスマホを弄っている姿をしっかりロックオン!

(急いで駆け寄れば、胸がプルンプルン上下するところを、バッチリ見せつけることができる。だけどかわいらしい感じも、忘れないようにしなきゃ!)

「翼く~ん!」

 声をかけて、まずは自分に注目させる。彼の目が私を見た瞬間に、かわいく走り出した。飛び跳ねる感じで駆け寄って、息を切らしながら翼くんの前に登場!

「翼くん、こんにちは。早いね!」

「春菜さん、こんにちは。時間ができたので、早めに着いただけです」

 私の姿を見ても顔色ひとつ変えない翼くんに、どうしてって思った。春菜のこの格好はどこから見ても扇情的な姿で、大抵の男は鼻の下を伸ばしたり、胸ばかり見たりする。

 だけど翼くんはこの間と変わらず、素っ気なさが全面に出ていて、こんな態度を貫かれたことのない私は、どうしていいかわからなくなった。

「と、隣失礼しま~す」

 内なる困惑をなんとかひた隠しにして、翼くんの隣に座る。腕と腕が触れそうな距離感を、しっかりキープした。あわよくば彼の腕に自分の腕を絡めて、胸の柔らかさを直に堪能してもらう作戦だった。

「あれ、翼くん。今日はカメラ持ってきてないんだね?」

 私の問いかけに、翼くんは持っていたスマホをしまって、苦笑いを浮かべながら口を開く。

「この湿度が、カメラによくないんです。春菜さんを撮影したかったのに、本当に残念です」

「そっかー。翼くんが撮してくれると思って、バッチリ決めてきたのになぁ」

「じゃあ次に逢うときも、バッチリ決めてきてください」

 見惚れるような笑みで強請られたら、翼くんの言うことをなんでも聞いちゃう!

「ちなみに翼くんは、どんな女のコが好みなのかな?」

 彼の好みに合わせようと、さりげなく質問した。この格好が好みじゃないということは、彼の態度が示している。もしかして、清楚系のほうがいいのかもしれない。
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