朝、目が覚めたら意地悪なアイツと一緒のベッドで寝ていた件について




私がスマホを切ると春野は立ち上がって外に出る支度を始めた。



「親心配してたよな?遅くまで付き合わせてごめん、家まで送るから」

「あ、ありがとう!親っていうか…お兄ちゃんなんだけどね。お兄ちゃんうるさいから」

「可愛い妹なら仕方ないんじゃね?俺も琴音が妹だったら…いや!妹だったらこんな感情抱いちゃいけないのか!兄妹じゃなくてよかった!」

「春野っ…もういいから!」



思ってた以上に春野に好かれてたんだなぁ。



春野がそんな事を言ってくれるのは、恥ずかしいけど嬉しかった。



そして春野の家を出ると、私達は自然と手を繋いで歩いていた。



「琴音の兄ちゃんってどこかで会った事あるような気がすんだけど気のせいかな?結構なイケメンだからもし知り合いなら忘れないと思うんだけど」

「え?お兄ちゃんの事知らない?うちの学校の生徒会長だよ」

「………あ!そうか!通りで見たことあると思った!会長からの挨拶の時いつも女子達壇上の周りに集まってるよな」

「うん。お兄ちゃんのどこがいいのかわかんないけどね…お兄ちゃんのせいで他のクラスとか上級生とか私の事見に来るんだけど、みんな私のことコソコソ小さいって馬鹿にしてくるし…今日の電話の通りうるさいし、お兄ちゃんが私のお兄ちゃんで良いことないよ」

「琴音も苦労してるな…まぁでもうるさく言うのは愛だろ。琴音の兄ちゃん琴音の事めちゃくちゃ大事なんだと思うよ」

「…そうならもっと優しくしてくれれば良いのに」



家が見えてくるとなんと、お兄ちゃんが家の前で仁王立ちで立ってるのが見えた。



うわ…いつもはこんな事ないのに今日に限って…。



パッと春野から手を外した。



「春野…お兄ちゃん外で待ってるからここでいいよ!送ってくれてありがとう」

「…俺、琴音の兄ちゃんに挨拶するよ」

「え!?いいよ!お兄ちゃん面倒くさい人だから…」

「いや、だってこっち思いっきり見てるし…挨拶しないわけにいかないだろ。今まで他の友達もいたって事で話合わせるからさ」



春野はそう言ってお兄ちゃんの方へズンズン進んだ。


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