架空女子でごめんね
第1章

第1話 星空みたいな恋心


ーーこんなはずじゃなかったのに。

ただ、私は……ーー






7月のある日。

C市立C中学校。

生徒用駐輪場の片隅で。



私、津山(つやま)すずめは、軽く絶望していた。



(自転車の鍵が、無い!?)



通学鞄の中をがさごそと探ってみる。

だけど、無い!



(どうしよう、歩いて帰る?)



家まで歩いて帰れないことはないけれど、自転車で帰るより倍の時間はかかる。

それに。

鍵を失くしてしまったことが、どうしても気にかかる。



(……見つけなくちゃ)



もしかして自転車に鍵を差したまま?

そう思って確かめるけれど、鍵の姿は無い。



私の赤い自転車の周りをキョロキョロ見回す。

無い。

どこかに落としたのかな?

かがんで地面を注意深く探す。

でも、無い。



その時。



「何してンの?」



背中から声がした。


< 1 / 132 >

この作品をシェア

pagetop