架空女子でごめんね

ふと。

棚に平積みされていたある本に目がとまる。



『今日から始める』『初心者向け』の文字が、私の心に爽やかな風を吹かす。

可愛い女の子が鏡に向かっている表紙の写真が、脳内にときめき物質を次々と生産していく。



手にとって。

中身をパラパラ見る。



気づくと私は、手にした本をそのままレジまで持って行っていた。






それから。

数日が経った。

私は学校から帰ると洗顔して。

化粧水、乳液で整えたあと、本を片手にメイクの練習に励むことが日課になっていた。



メイクのことでわからないことがあると、メッセージアプリを開く。



『ファンデーションの粉が口元のあたりで固まっていることがあるのですが、解決方法はありますか?』



1年2組のグループメッセージに書き込むと、誰かが必ず返事をしてくれる。



< 27 / 132 >

この作品をシェア

pagetop