神様、この恋をよろしくお願いします。
「寝てる」

一言だけ返って来た。

「いつも?」

だからもっと聞きたくて。

「だいたい」

教えてくれるまで聞いてみた。

「どこで?」

「体育館の裏んとこ」

「え、ずっとあそこにいるの!?」

「まぁ、基本は」

思ったより答えは簡単で、だけどなんでそこでずっと寝てるのか…

あ、眠いからだよね。

それはそうだよね、夜遅くまで起きてたら。

でもそうじゃなくて。

「どうしてあんなところで寝てるの?」

スニーカーから上靴に替えた相沢くんがこっちを見た。

パチッと目が合って、少しだけドキッて胸が鳴った。

「あったかくて気持ちいいから」

………え?

「ちょっと寝てから行こうと思うと気付いたらガチ寝なんだよな、マジであそこいいから」

なんとなくわかった。

朝学校には来るけど、体育館裏のポカポカ陽気が気持ちよさ過ぎてつい寝過ごしちゃうんだね?2時間目に教室に来る日はその時間に起きたからなんだね?

じゃあ夜早く家に帰ればいいのに!

って思ったけど、言う気にはなれなかった。

きっと帰りたくない理由があるんだなって、あの時思ったから…
それは聞くことができなかったけど。

“あったかくて気持ちいいから”

そんな風には思ってるなんて思わなくて、それはちょっと…意外だった。

あったかくて気持ちいいなんて思うんだ、相沢くんでも。

眠そうな相沢くんと今度こそ一緒に教室へ向かう。

「…毎日学校には来てるんだよね?」

「来てるよ」

「じゃあさ…」

“毎日教室にも来てよ”って言いたかった。だけどこそばゆい気持ちに体がかゆくなって言えなかった。

「来週の遠足は行く?」

「へぇ、そんなのあるんだ?」

「あるよ!水族館だよ!バスで行く遠足だよ!」

「行かないけど、興味ねぇし」

「…だよね」

特に何かを期待しちゃったわけじゃないけど、でも今日はね…
来てくれて嬉しいなってあたしの心がポカポカしてた。
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