【奏】きみにとどけ

伝えたい


『ス……』








「ん?」






消え入りそうな声で聞こえない。








『ストラップは?』






あぁ…ストラップね。




「のけ…」






除けたなんて言えねぇよ。






まさか気づかれるとか


聞かれるとか考えもしてなかった。





『お揃い嫌になった?』




ようやく顔を上げた野々瀬。




何で、俺を相手に

そんな切なそうにしてんだよ。




ただの男友達と


同じストラップつけてただけじゃねぇか。




期待させんなよ。




「違ぇけど?」




『じゃあ何で…?』




「何でそんな事、聞くんだよ?」



『っ……

だって、気に入ってるって言ってたし

それに…レインボークリスタルには

意味があるのに…』




【愛・感謝・希望】


だったっけかな…。





さしずめ野々瀬なら……。



俺に対して感謝だろうな?




ストラップを送った感謝。





愛も希望もねぇだろうし


あるとしたらそれぐらいじゃね?




『本当に嬉しかったんだよ?』



だから、何で期待させんだよ?


無意識か?



無意識で言ってんのか?



だとしたら……



―――まぢキツイわ…。






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