あなたを愛しても良いですか。

私の名前は、三条 涼子(さんじょう りょうこ) 24歳。
名家と言われる三条家の長女であり、生まれる前からこの結婚は決められていたのだ。


私の許婚は、華道界のプリンスとも言われる男。
城ケ崎流 家元 城ケ崎 真一(じょうがさき しんいち)34歳。
嫌味なほどに端正な顔立ちで、今日も完璧な作り笑顔を振りまいている。


嘘くさい褒め言葉に、わざとらしい笑顔の祝辞…ハッキリ言ってうんざりする。
しかし、三条家のお嬢様として育てられた私は、上品な笑い方は心得ている。
来賓には最上級の笑顔を向けるのだ。


長く退屈な披露宴は、いつお開きになるのだろうと、大きく息を吐き出した。


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