あなたを愛しても良いですか。

私が悠太の家にお世話になって3日が経とうとしている。
しかし、真一は思い当たるところに電話をかけて探しているようではあるが、捜索願いなどは出していない。
恐らく、警察に届けを出せば、城ケ崎流の名前がでてしまう。
真一は絶対にそれは避けたいと思っているだろう。


悠太は早速動き出していた。

真一の元へ行き、城ケ崎流から脱退すると伝えたのだ。


「家元、お話があります。…突然ですが、今日を持って城ケ崎流を脱退させていただきます。」


真一は大きく目を見開いて驚きを隠せない様子だ。


「悠太、それは本気で言っているのか?」

「もちろん本気です。どうか僕の我儘をお許しください。」


すると真一は何かを思いついたような表情をした。


「悠太、おまえまさか…涼子と一緒に逃げるわけじゃないよな?」


悠太は何も言わずに、無言でじっと真一を睨んだのだ。


「3日前、涼子さんに何をしたんだ?」


真一はさらに驚いた表情をする。


「涼子は、お前の家にいるのか?だったら返してもらうよ。俺の妻だからな。」

「涼子さんを泣かせるような奴に、返すわけがないだろ。」


真一はその言葉を聞くと、勢いよく立ち上がった。
そして悠太の胸元を掴んだのだ。


「お…お前、俺に何を言っているか分かっているのか!」

「涼子さんは俺が守る。」


すると、真一は掴んでいた手を放し、不気味な笑顔を見せたのだった。


「俺は何があっても、涼子と離婚はしてやらないからな。悠太がどう足掻いたって、涼子は俺の妻なんだ。」


悠太はそれ以上何も言わずに、静かに部屋から出て行った。


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