だめんずばんざい
一番日当たりがいいというリビングの大きなガラス窓の側のテーブルに華やかなテーブルコーディネートがされている。
花が飾られているのはもちろん、3種類のグラスケーキはブルーベリーのショートケーキ、いちごとヨーグルトのムース、チョコとキャラメルのムース…これだけでカラフルだ。そして数種類のスコーンやビスケットなど紅茶と楽しむための‘ティーフーズ’が大きなプレートに美しく盛られていた。
「ティースタンドを使っていないから順番を気にせず、好きなものを好きなだけどうぞ」
「それがいいわ、ばあちゃん。俺、あれ嫌い。順番もだけど誰が何を何個食べる…みたいなの、リラックスできるのか?って思うんだよ」
すみ子さんもガクトも私がマナーを気にしなくていいように気づかってくれているのだと思う。
「こんな華やかなテーブルは初めてで嬉しい。写真撮っていいですか?」
「今ティーポットがくるから…来たわね。これも一緒に」
「素敵…カラフルなテーブルに白いポットとカップ」
出てきたティーポットとカップ&ソーサーが白に薄いグレーで手描きのフラワーというシンプルなものだというところにセンスの良さを感じる。
「いただきます」
ガクトはいち早くビスケットに手を伸ばして口に入れると
「カオルちゃんは何から食べる?」
そう微笑んで小首を傾げた。完璧なイケメンがビスケットのカスを唇につけていることに頬が緩む。
「私は…これもスコーン?スタ○なんかは、こういう三角だね?」
「アメリカンスコーンは三角、イギリスのスコーンは丸いみたいだよ?」
「知らなかった…いただきます」