だめんずばんざい




「おかえり。ありがとう、カオルちゃん」

部屋から出て来たガクトは私をぎゅうぎゅうと抱きしめる。

「ガクト…」
「うん?」
「これ…食べてから冷蔵庫に入れておいてくれる?私…寝る」
「カオルちゃん?」
「頭痛い」
「風邪ひいたかな…薬がないな…」
「今寝たら大丈夫だから」

ガクトは私の額に額を合わせて

「熱はないか…」

と私を抱き上げてベッドに下ろす。

「聡にいから電話で…」
「うん…ごめん…明日聞いていい?」
「いい、いい…何も心配しないで休んでカオルちゃん。抱きしめてようか?手繋いでる?」
「…熱いタオルが欲しい」
「ん、休んでて…おでこと目元に当てるんだよね?」

ガクトには以前レンジでのホットタオルの作り方を伝授したから大丈夫だろう…ごめんね、ガクト…今は何も聞きたくないんだ。明日はちゃんと聞くから今日は眠らせて…

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