だめんずばんざい
「今の同居人さんは女性ではない?そういう面倒なトラブルには巻き込まれたくないです」
「大丈夫、男。彼女も2年近くいない」
「ベッドは無いですよ?」
「屋根があることがありがたいし、どこでも寝られるから大丈夫」
「うちに来てみます?お試し1週間。で、1週間後ここでオーナーたちに報告をする…どうですか?」
「俺は保護観察中で、オーナーが保護司って感じだな。いいよ」
ガクトさんがそう言うと
「何を呑気な…保護観察って未成年の言葉だろ?それにカオルちゃんに‘いいよ’でなく‘お願いします’と言うのが適切」
オーナーが呆れて言った。
「わかってるよ。今から言おうと思っていたのに…」
少しふて腐れた彼はやっぱり子犬だ。
「言おうと思っていることを言われたり、やろうと思っていることを先に‘やれ’と言われるのってちょっと嫌ですよね」
「ほんと、それ。やっぱりカオルちゃん、気が合うね」
彼はそう言いながら私に右手を差し出し
「よろしくお願いします、カオルちゃん」
とまた微笑んだ。