次期頭取は箱入り令嬢が可愛くて仕方ない。
◇お見合いに行きます。

 それから数日後のこと。

 家から高速に乗って名古屋駅に向かい、名古屋駅近くにある高級ホテルにやってきた。


「お父さん、本当にこんなすごいとこでお見合いなの?」

「そうだよ。ここのホテルのレストランで会う約束だ」


 私はピンク色の振袖を着ていて髪は朝早くから美容院でセットしてもらったので多分令嬢っぽいと思う。本当はお母さんも一緒に行きたいと言っていたが、妊娠中のため家で安静とお父さんに諭されてお家でお留守番だ。

 お父さんは慣れた感じでエレベーターホールに行き、エレベーターに乗り込む。それでレストランがあるという最上階に行くとレストランの受付だろうかそこにいる人にお父さんは声をかける。


「今川様、ご案内いたしますね」


 女性スタッフさんは私たちをレストランの半個室まで案内してくれた。


「和紗。キョロキョロするな、慣れてないからって行儀が悪い」

「うん……だって、綺麗で落ち着かなくて」

「もうすぐ先方がいらっしゃるのだから大人しくしていてくれ」


 そうは言ってもこんなところきたことないんだもの仕方ない。

 私は、老舗味噌屋の娘だがこんな素敵なホテルにあるレストランなんてきたことがないんだから。それにまだきてないし……



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