ドーナツの穴になりたかったの(詩集)

過去

「過去」



引き出しの奥から
古いマニキュアが出てきた
今のわたしでは考えられないような
派手な色のそれは
昔の恋人の趣味だった
若く青い恋の日々を思い出し
ふたを開けてみると
中身は固まり、干からびていた
ああ、そうだ
あの恋はもうとっくに終わったんだった



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