ドーナツの穴になりたかったの(詩集)

「口」



全部見ていたはずなのに
彼は平和に笑って
私があげた薄荷飴を口に放り
何気ない話を始める
なんにも知らないという口ぶりで
私にはそれが
良心の呵責に耐え兼ねた私が
口を開くのを待っているように見えた




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