ぼくらは薔薇を愛でる
 一日しっかり休んだレグは、新しい職場、生花店での体験がはじまった。

 生花店の一日は早く業務が多い。朝早く市場に出かけ、前の日に発注していた花を受け取るほか、新規で入荷している花の選別をし必要なら買う。その間、店に残った者は店やバケツの掃除、水の取り換えを行い、市場から戻ってきた花の水あげをしつつ、来店する客の対応もする。午後は花束や鉢植えの配達があり、店内の花の手入れ、翌日のための花の発注も行う。このほか、資材の仕入れやミニブーケを作る練習もあるし、閉店後の売上の管理もしなければならない。

 レグはその中の、午後の配達を担当する事になった。台車を扱うのは書店で経験があるから問題なかったが、本を運ぶのとは勝手がだいぶ違い、花は扱いが難しかった。背丈のあるもの、花が特に大きなものなど様々だし、急いで移動すれば桶中の水が飛び散って悲惨な事にもなる。色々と失敗をして叱られながら、レグは生花店での働きに慣れてきた。

 ――城に飾ってある花もこうして手入れしてくれてるんだな――何も知らなかった。

 配達を終えて店に戻ったらミニブーケの作り方を教えてくれる事になった。それに必要な花の選別と手入れをしてみろと言われ店に並ぶ花を選んでいて、しみじみ、そう思った。

 ――ただきれいなだけじゃない。生きているものだ。

 真剣に花を選び、余分な葉を落として長さを切り揃える。あらかじめ用意してくれていたきれいな紙を使ってくるくるっと巻いてリボンをかければ、小ぶりなブーケができあがる。

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