経理部の女王様が落ちた先には
2
7月も下旬が始まる。



経理部の中では、静かな時間が過ぎる。
全員が各々の作業に没頭している。
そんな中、1つの書類に気付き・・・私はゆっくりと立ち上がる。



「営業部、行ってきます。」



フロアの床に、少しだけピンヒールの音が響く。


規則正しいその音が、わたしを冷静にしていく。



もうすぐ、営業部・・・



「麻美さん!!!」



急に大きな声で呼び止められ、私は立ち止まる。
ゆっくりと振り向くと、何度か経理の処理でやり取りをした男の人。



「なにか?」



役職者ではないのを確認し、私は足を気持ち広く開き、左手を腰に当てる。



そんな私の姿を見て、目の前の男の人が興奮していくのがすぐに分かった。



「金曜日、飲みに行きませんか!?」



社内で、大きな声でそんなことを言った。



私が少し深呼吸をした時・・・



「キミ、よくないね?」



と、少しだけ香るタバコの匂いが私の後ろからした。
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