俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
 中から紙袋を手に急いで出てきた和装の男性。芹にはキラッキラに輝いているように見えた。

「王子だぁ〜」思わず呟いてしまう。

「新城さん、お久し振りですね」

「ああ。いつもお世話になってます」

「何を仰る。こちらこそ、いつもご贔屓にしていただき感謝しております」

「変わらず人気ですね」

「お陰様で」

「今日は無理を言ってすみません」

「とんでもない。大切な日にうちの和菓子を使っていただけるなんて光栄です」

 ここで、若旦那が芹に視線を移す。

「いつも新城さんにはお世話になってる長谷夕輝です。これからもご贔屓に」

 ニコッと笑う若旦那に、並んでいる客達からは歓声があがる。

「成宮芹です。よろしくお願いします」

 自己紹介しながらも、周囲からの視線がいたたまれない。暁と夕輝のツーショットはハピカレを思い出させる。

 芹の実家に持っていく手土産を買いに来ただけだが、ぐったり疲れてしまう。

 王子の人気は二次元でも、三次元でも不動だ。
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