俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
俺様御曹司様
 結局、芹の拒否は受け入れられず、会場から連れ出された。

 満足顔の暁と不貞腐れている芹は、ホテルに車を取りに戻った駿を待つ。抵抗を諦めた芹は、コスプレから私服に着替えた。

「芹、何か食べたいものはあるか?」

「別に……」

「どこか行きたいところは?」

「帰りたい……」

「却下」

 俺様な暁と頑なな芹は、ずっとこの調子だ。いつもクールで恐いイメージの暁が、芹の前だと何を言われても苛つくことなく、執着している。ただ、目の奥は欲望がギラギラと覗いている。

 俺様御曹司は興味がないが、ツンデレを発動されると芹は弱い。ふたりの駆け引きはどちらに軍配があがるのか……。

「おまたせしました」

 高級車を運転した駿が会場の裏に車を止めた。

「芹、乗って」

 暁が後部座席を開け、芹をエスコートする。

「は、はい」

 抵抗を諦め乗り込む芹だが、エスコートされて不覚にもキュンとしてしまった。些細なことなのだが、乙女ゲームでのキュンポイントを実際に再現されたようだ。

 この時の暁は、エスコートというよりは逃げられまいとしての行動だ。


 
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