カラダの関係は、お試し期間後に。

熱視線

“お試し期間”はさらに続き、綾乃の休日は男たちとの健全なデートにのみ費やされていた。

今日は、朝から森林緑地で自然派嗜好のイケメン“ネイチャーくん”とのデート中。


「はぁー…青い空に緑の木々、頬を撫でていく柔らかな風、そして心地良い小鳥のさえずり…」
「これこそが、自然の中で生きるってことなのねぇ…」


澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込み、レジャーシートの上で大の字で寝転がる綾乃のことを見下ろしていたネイチャーくんがそっと手を差し伸べる。

「綾乃さん、キミって素晴らしいよ…。この自然の美しさがわかるキミは…この世の誰よりも美しい」

差し出された手を掴み、起き上がった綾乃の手を離すことなくネイチャーくんはまっすぐに見つめてくる。

「キミは本当に、僕の運命の女性だよ」
「……愛してしまいました」
 
「そ、そんな…嬉しいっ…!(ネイチャーくんは正統派のイケメンで、女慣れしてなさそうな所に惹かれちゃったのよね。この人となら、清く正しい恋愛ができるに違いないわっ!)」

握っていた手を離すと、ネイチャーくんはカバンの中を探り始める。
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