先生、私がヤリました。
その日の放課後です。
家庭科の授業で、手縫いでブックカバーを作ってたんですけど、提出が前日までだったのに、間に合ってなくて提出が出来てなかったんですよね。

私を含めて三人が居残りさせれてました。
他の二人は部活があるからって猛スピードで仕上げて、ほとんど二人同時に教室を出て行きました。

「ごめんね！お先に！」って二人して私に手を振ってくれて、こんなに早く出来るなら最初からしてれば良かったのになぁなんて思いながら、私も手を振りました。

私もあとちょっとで完成しそうだったんですけど、チクチク、チクチク塗っていた手を止めて、糸で繋がったブックカバーになる予定の布と針を机に置きました。

糸は黄色でした。
黄色地に、赤い苺柄の布だったから。

全然趣味では無かったんですけど、ブックカバーの授業が始まる日、布を用意するのを忘れてたんですよね。

私の他にも忘れたクラスメイトが何人か居て、みんなで授業の前に職員室に行きました。
家庭科の先生に忘れましたって謝ったら、授業前にちゃんと言いに来たからって、先生が用意してた布を分けてくれたんです。

ブルーのデニム調の生地とか、生成りっぽいただの無地とか色々あったんですけど、苺柄を選びました。

全然趣味じゃないのに何でその生地にしたのか、自分でも分かりません。
気分ですかね？
< 57 / 236 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop