先生、私がヤリました。
「髪、おろしてるほうが似合う、って。」

「…あ、あぁ…、だってあの時は、体育だったし。」

「うん。」

「普段はおろしてますよ。今だって…。」

「うん。」

「せ、んせい…?どうしたんですか?」

「ごめん。嘘ついた。」

「嘘?」

「忘れ物。本当はしてないし、お前が居残りしてんのも知ってた。」

話がよく見えなくて、私はただ先生を見上げ続けました。
先生は決まり悪そうな顔で、窓の外を見てました。

「このクラスの担任だからな。教科の先生に補習で居残りの許可出さなきゃなんだよ。」

「あ、はい…、そうなんですね。」

「雨は偶然。」

「はい…。」

「で、もしかしたらまだ居るかもなって。そしたらビンゴ。しかも一人。」

「はい。」

「あのさ。」

「はい。」

「誰にでもいい顔すんなよ。」

「…はい?」

「体育の時。男子に割り込んでハシャいだり、体触らせたり。誰にでもそういうことさせてると、大人になって後悔すんぞ。」
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