こころが揺れるの、とめられない
「……みくる、大丈夫?」
女子更衣室の中。
サッカーグラウンドに向かう前に、ジャージに着替えながら、可奈ちゃんが心配そうにわたしを覗き込んできた。
「さっきから、すっかり考え込んじゃって。……もしかして、体育館での件?」
綾人から聞いたよ、と、可奈ちゃんが眉を寄せた。
「普通に仲良くしてた子たちだったけど、見損なったな。……みくるに当たったって、どうにもならないのにね」
「可奈ちゃん……」
「わたし、全然気づいてなくて。綾人が強く言ってくれたみたいだから、今回はわたしはなにも言わなかったけど……。次またなにかされたら、すぐに教えて。わたしがガツンと言ってやるから」
ム、と唇を結んで、体の前で拳をつくった可奈ちゃんは、可愛らしいのに、ずいぶんと頼もしく見えた。
「……ありがとう……」
「任せてよ」
お日様みたいな笑顔が、わたしの胸の底を、照らしてくれる。
ちょっとだけ、力が湧いた気がした。