こころが揺れるの、とめられない
わたしは、気づいたら駆け出していたんだ。
……大切な友達と、好きな人が同じだった。
いつも三人、一緒にいたはずなのに。
わたしは可奈ちゃんの気持ちに、まったく気づけなかった。
ふたりが隣に並ぶと、しっくりする。
すごくお似合いだった。
固めたはずの決意が、驚きとショックで跡形もなく溶けて、消えてしまって。
わたしは、——綾人の返事を聞かずにその場を逃げ出してしまったことを、今更ながら、思い出した。