こころが揺れるの、とめられない


ここは、みんなのロッカーの目の前。

……たぶん、ものすごく目立つ。

横を通り過ぎてゆく人に、好奇の眼差しで見られているはず。

はやく泣き止まなきゃ。

そう思うのに、涙は全然止まってくれない。


唇に、まだぬくもりが残ってる。
じんじんする。

悲しさで呼吸が重くなる。

胸が強く締め付けられすぎて、割かれてしまったんじゃないかというほど、痛んでる。


声を抑えながらしゃくりあげるわたしの後ろで、……またひとつ、こちらへ向かって駆けてくる誰かの足音が、聞こえた気がした。


「みくる」


ひどく優しい声で、綾人がわたしの名前を呼んだ。

腕を引き寄せられ、力なく倒れこむと、抱きとめるように支えてくれる。


「とりあえず、帰るぞ」

「……うん……」


よろめきながら歩き出すわたしの鞄を、綾人がひょいと奪い取った。

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