こころが揺れるの、とめられない
「やっぱり俺には、……こういうの、向いてない」
三澄くんの言う、こういうの、がいったいなんのことを指しているのか。
わたしには、わからなかった。
人を、描くこと?
感情を、表に出すこと?
確かめたかったけれど、
「だから、もう出てって」
付け足すように放たれた言葉に、わたしは、怖気付いてしまった。
これ以上、三澄くんの言葉で傷つくことに、耐えられないと思ってしまった。
「……っ」
自分の心を庇うように、背を向けて。
昨日と同じく、わたしは三澄くんを残して、逃げるように美術準備室から飛び出した。