こころが揺れるの、とめられない
「……どうもしないですよ」
茶化すような口ぶりに、わたしは苦い愛想笑いを返した。
……というか。
あの美術の先生、春野先生っていうんだ……。
なんだか可愛い名前。
ゆるゆるした先生の雰囲気に、ぴったりだ。
長年の謎をようやく解明できたような気分になって、スッキリする。
「三澄は練習のほう、うまくいってるのか」
「……」
悪気のない先生の問いかけに、わたしは今にも泣き出したい気持ちになった。
……結果を多く残している三澄くんは、きっと先生たちにも期待されているから。
ちっともおかしな質問じゃない。
でも……。
さっきの今で、タイミングが悪すぎるよ。
「……今日で、終わりました」
声が震えそうになるのを堪えながら、わたしはなんとか答えた。