いちごみたいに甘酸っぱい君のアイ 〜序章〜
真冬の日の出会い
小学校3年。真冬。
私は学校の帰り道、重い足をあげながら家に向かっていた。
ろくに防寒具を揃えてもらえず、薄いものを何十にも重ねていた。
その日は雪が降っていた。4cm積もるって学校の子がはしゃいでたっけ。
靴を雪で濡らしながら、凍りついたような肺を使って息をする。
冷たい。カラカラに乾燥している空気。肺が凍りそうだ。
白い息をはいて、手をこすり合わせる。
皐月や母親、父親の足や拳により体中が動くたびに痛くなる。
片目は多分失明してる。殆ど見えない。肋骨の右バラあたりが痛い。きしむよう。
想像を絶すような痛みに襲われる。