いちごみたいに甘酸っぱい君のアイ 〜序章〜
あの人



<紗綾side>





まただ。



また、逃げてしまった。




紗綾ちゃん、とみんなが切なげに出す声を聞きながら私は今渡り廊下を走っている。



ごめん。逃げてばっかりで。


陽雅がいなくなってから、私は逃げるようになった。雪峰のみんなに対しても。


ごめん、ごめん。ごめん。




「ごめんっ…。逃げてばっかで…。」




謝罪を口にするが、その言葉は誰にも拾われない。


だってここには誰もいないから。






陽雅、大好きだよ。大好き。愛してる。



あの日、おじさんの家を抜け出してよかったと思う。


あの日、繁華街にさまよってよかったと思う。


あの日、陽雅に出会えてよかったと思う。


あの時、陽雅を好きになって良かったと思う。




でも、だからこそ…!




陽雅にいなくなって欲しくなかった…!!!



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