真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


「だよね?」

「……うん」

「なら、答えは一つじゃないのかなぁ?」

「あ……」


 木葉ちゃんは項垂れる。黒髪が肩からこぼれ落ちた。


「める、あたしの家……親がめちゃくちゃ仲良いんだよね」


 膝を抱えながら体を丸めて、一つ一つ話してくれる。


「彼氏がほしいのも、いつかああなりたいなって憧れがあるからなんだけど、今まで全然うまくいかなくてさ……」


 そうして自虐的な笑みを浮かべると、わたしに寄りかかってきた。


「当たり前じゃんね。あたし、好きな人と付き合ったことないもん」


 初めて見かけた木葉ちゃんはどこか達観していて、クールな女の子って印象だった。


 話しかけてみても冷たく返されるから、他人には興味ないのかなぁ~って思ってたけど。


 実は人見知りで、寂しがり屋で、自分を素直に表すのが苦手なだけの女の子だったりする。


 諦めないで接し続けたから見つけた、木葉ちゃんの魅力。



「贅沢を言えば……有明とめちゃくちゃ付き合いたい」



 可愛いところ。


 わたしだけが知ってるのはもったいないよね。


「……いや恥ず」

「ふふ、可愛いよ?」

「うるさ……。これ、他言無用だからね。めるの前だから言ったんだからね?」

「おっけ~」

「あんたのそういうゆるいとこ、ちょっと信用できない」

「ひどいなぁ」

「でも……」


 木葉ちゃんはチラッとわたしを見上げると、


< 139 / 167 >

この作品をシェア

pagetop