真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


 早く一悟くん来ないかな~とアメ玉を転がしながら教室のドアを眺めたら、ちょうど入ってきているところだった。


 クラスメイトから口々に挨拶され、一人一人丁寧に返している。


 そして、最後にわたしを見て……ふわっと笑ってくれた。


 わたしも笑顔で手を振る。


「おはよ~一悟くん」

「お、おはよう羽入さ……え!? 今、名前で……!?」


 あ、嬉しい。気付いてくれた。


「せっかくだからそう呼ぼうかな~って。ダメだった?」

「ダメじゃない! う、嬉しい、です!」


 ブンブンと首を振る一悟くん。まるで水を切るために体を揺らす犬みたい。


 なんかこういうやり取り、恋人らしいね~。


 だんだんと実感がわいてくる。


「一悟くんもめるって呼んでいいよ~」

「そっ、それは……! まだ、ちょっと勇気がっ……」

「そっかぁ、残念」


 一悟くん、恥ずかしがり屋っぽいもんね。


 これは気長に待つことにしよう。


 一悟くんも「いつかは、必ず……!」と決意をあらわにしていた。待ってるよ~。


 そうだ。それと、


「ねぇ一悟くん、ちょっと屈んでくれる?」

「? う、うん」


 言葉通り屈んで、一悟くんの頭の位置が低くなった。


 本日の、ログインボーナス。


「わっ!?」


 わたしは一悟くんの頭に手を乗せて、わしゃわしゃとかき回した。


 わぁ~癒される……!


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