真っ赤ないちごくんの可愛い溺愛


「にっ、二十パーセントくらいだからっ」

「不本意がか?」

「…………うん」


 真っ赤な顔を隠しながら頷く木葉ちゃんを、有明くんは満足げに見つめる。


 瞬間、クラスの女の子の何割かが床に崩れ落ちた。


 みんな悲壮感を漂わせている。


 あ~、これって、有明くんに彼女ができたから?


 思ったより隠れファンが多かったんだねぇ。


「ご、ごめん、める。すぐ言おうと思ったんだけど、なんせ昨日の今日だから……」


 困り眉の木葉ちゃんが恐る恐るわたしを見てきた。


「へ~! 昨日からなの?」


 二人が夏休み中、何回か会ってたのは聞いてたけど。


 木葉ちゃんが素直になるの、結構早かったんだなぁ~。


「というわけだから羽入さん、改めて感謝させてほしい」

「お節介じゃなかった?」

「いいや。気持ちを固められたのは、間違いなく羽入さんのおかげだと思うんだ」

「ほんと? よかった~」


 確かに有明くん、幸せそうだ。


 なら素直に受け止めておこうかなぁ。


 あ~……そうすると、わたしがこの『有明ロス』を生んだと言っても過言じゃない状況になっちゃった。


 友達の恋を応援しただけなんだけど、みんな許してくれるかな?


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