恋の始まりはいつだって唐突に

「今週の土曜、予定ある?」


打ち合わせが終わり、廊下を歩いていると後ろから声をかけられた。

振り返るとぱりっとした白のワイシャツを着た掛井さんがこちらへやってくる。


「何もないですよ」

「じゃあ空けておいて。11時に迎えに行く」


隣に並んだのはほんの一瞬で、それだけ言葉を交わすともう立ち去ってしまった。



あの一件以来、こっちは目を合わせることもやっとだと言うのに。

……こっちの気も知らないで。


と小さく心の中で小さく悪態をついたのが3日前。


なんだか喉の奥がチクチクして、違和感を感じたのが2日前。

頭の中からガンガンと殴られるような痛みに襲われ、ひょっとしてこれは、と疑ったのが1日前。

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