円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
「赤毛の友人に、コンドルの羽を手に入れたらここに持っていけって言われて、場所がよくわからなくてウロウロしていたら案内してくれたんだ」
 コンドルはそう言ってカバンから立派な風切り羽を取り出し、横に立つディーノを見た。

「赤毛のお友達?」
 首をかしげるルシードに慌ててわたしが補足する。

「あのね、コンドルはきっとコンドルと相性がいいから、もしもコンドルがコンドルの羽を持ってきたらそれで何か作ってあげて欲しいってことだと思うわ!」

「言ってることがよくわからないんだが?」
 ディーノがつぶやいている。

「ああ、人間みたいな飛べないコンドルってあなたのことなんですね」

 納得したようにポンっと手を叩くルシードに対し、コンドルは戸惑いながら
「いや、俺、普通の人間だけど」
と言ったのだった。


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