婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「やめておけ。とばっちりを受けるのは俺たちだ。それに採掘師たちはこの件に巻き込みたくない」

「冗談だよ」
 と言うのが冗談に聞こえないところが、このシオドリックの性格を表しているのかもしれない。

「ところでさ、ヘイ兄。この書類を狙っている人物、それからこの不正を企んでいるような人物に心当たりはあるのかい?」

「まあ、俺がここに来たことでその地位を追い出されたヤツ、もしくはそいつに脅されてるヤツ。とかかな?」

「ヘイ兄が来たことによってこの現場を離れるようになった魔導士って。採掘部隊所属の、確か名前は……」

「採掘部隊元シャルコ責任者、フニペロ・メイソン、だな」
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