鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
 学生時代は毎日のように読み漁っていたというのに、エリオットは肝心な時に思い出せない。

「ごめんなさい。こんなこと言っても、困るわよね。でもちょっとだけ、話を聞いてもらえる?」

 シュエットにそう言ってもらえて、エリオットは嬉しかった。

 頼られている。そんな、気がして。

 今までエリオットは、誰かに頼られることなど皆無だった。

 ふとメナートの顔が脳裏を過ぎったが、スルーする。

 場違いにもニマニマしそうになる頰の筋肉を叱咤して、エリオットはなるべく冷静に、恋愛小説に出てくるイケメンヒーローを目指して言った。
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