鳥籠公爵は二度目の初恋を逃がさない〜迷子のモフモフを見つけたら、公爵様に溺愛されました〜
「逃げないでぇ! お願いだから、戻ってきてくださぁぁい!」

 窓枠から身を乗り出して遠い空へ手を伸ばすのは、エリオットの部下であり、この魔導書院の副院長である。

 遥かかなたに消えていくフクロウは、何を隠そう、このヴォラティル魔導書院が所蔵する魔導書であった。

 ここが世にも珍しいのは、所蔵する魔導書が全て、鳥の姿をしているからだ。

 ゆえに、魔導書院の中は本棚の代わりにたくさんの止まり木が設置されていて、鳥たちは自由気ままに好きな所で止まって休むようになっている。

 魔導書院の建物を囲むアイアン製の柵には美しい細工が施されていて、それも相まってか、ヴォラティル魔導書院は鳥籠のようだと表されていた。

 魔導書は、大型の鳥から小型の鳥まで、実にさまざまな姿をしている。

 貸し出しする際には特殊な魔法陣で貸し出し審査を行い、魔導書のかたちにしてから渡され、戻ってきた魔導書は、再び魔法陣にて鳥の姿に戻されるシステムだ。
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