観測の牢獄
(19)
「君の死にたい気持ちと、どこかのAさんが死にたい気持ちも同じだ。
そこに貴賤はない。
価値に差が無い行為に、私は興味がない」
世間話でもするように、近宮先輩は淡々と語っている。
私は、衝動にかられた。
そんなことはない、と。
この私の傷ついた心と、深い絶望は誰よりも勝る、と近宮先輩に訴えたい衝動にかられた。
だけど、唇を噛んで、その気持ちを口にするのを思いとどまる。
そんなことを口にすれば、それこそ私の死に価値がなくなってしまうと、どこかで冷静な自分が気付いてしまったからだ。
そこに貴賤はない。
価値に差が無い行為に、私は興味がない」
世間話でもするように、近宮先輩は淡々と語っている。
私は、衝動にかられた。
そんなことはない、と。
この私の傷ついた心と、深い絶望は誰よりも勝る、と近宮先輩に訴えたい衝動にかられた。
だけど、唇を噛んで、その気持ちを口にするのを思いとどまる。
そんなことを口にすれば、それこそ私の死に価値がなくなってしまうと、どこかで冷静な自分が気付いてしまったからだ。