観測の牢獄

(25)

 学校から私のマンションまで帰るには、一つ、長い商店街を抜けなければならない。

 手袋をつけていてもかじかむ手が気になる。

(冷たい)

 近宮先輩と並んで歩きながら、そんな感覚が私を支配していた。
< 25 / 36 >

この作品をシェア

pagetop