御曹司くんは素直になれない
「ねぇ、玲くん」
ん?
なんか、俺の大好きな声が聞こえるような……
「ちょっと、聞いてる?」
「うわっ!?」
ヤッベェ。
意識が妄想天国にぶっ飛んでたせいで
隣に立つ柚葉のこと、完全に忘れてたわ。
「悪い悪い。で? 何?」
「何って、玲君が私に聞いたんじゃん?」
「ん?」
「100万円当たったら、何が欲しいかって」
「ああ、そうだったな。
で、柚葉は何が欲しい?」
「私は……えっと……」
なんだよ?
急に、恥ずかしそうにうつむいて
ポニーテールの髪を、指で触り始めてさ。