ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 もう少し、この幸せのままでいたい……。まだ九カ月残っているが、でもたったそれだけしかないから。

 だから最後まで、この想いは私の胸の中だけの秘密にしようと思う。

 でも大丈夫なのかな、私。

 一年後ちゃんと失恋を受け入れられるかな。

 

 思いを巡らせながら洗濯機を回し、その間に寝室の掃除をする。

 シーツを外そうとしてなにかが引っかかった。

「ん?」

 これは、パールのピアス……。

 私のものではない。

 仕事柄アクセサリーはつけないし、私はピアスの穴も開けてはいない。もちろん慎一郎さんの物ではないし、となると?

 チクリと心が痛んだ。

 脳裏をよぎる、〝浮気〟の文字。

 どう考えても私のいない間に女性がこの寝室に入ったとしか思えない。お母様というわけでもないだろうし。

 ごくりと喉の奥が音を立てた。

 握っていたはずの幸せの粒が、指の間から恋折れ落ちてゆくようだ。

 浮気、か。

 でも私ってかりそめの婚約者だから、浮気っていうのも変かもしれないね。

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