ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 証人はそれぞれの友人にしようと決めて私は美江ちゃんにお願いしようと思う。

 慎一郎さんがホテルに一緒に行ってくれると言うので、早速連絡して勤務を聞いてみた。

「遅番でいるみたい」

「じゃあ、夕食はホテルのレストランで取ろう」

 それからどこかに電話をかけた慎一郎さんの話によると、彼の親友を食事に誘ったらしい。そこでサインを書いてもらう約束をしたと言う。

「麻酔科医の八代だよ、覚えてる?」

「はい覚えてます。実は何度かレストランでお会いしていたから」

 職業柄なのか、お客様の顔は大体覚えている。

 正直言うと、毎会違う女性といらっしゃるので知らぬふりをしていたのだ。

「え? そうなのか」

 ピクリと片方の眉を上げ、ちょっと不機嫌になる彼はかわいい。そんなふうに言ったら叱られちゃうだろうけど。

「ホテリエは口が硬いんですよ。信用が大事ですから」

 クスクス笑うと、彼も釣られたように笑った。

「まあいいさ、八代を責めておくよ」

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