ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 優斗は奨学金を借りるしアルバイトをするから心配ないと言うが、本当に大丈夫だろうか。生活するには細々とお金がかかるし、間違っても食費を削ったりはしないでほしい。

 毎月仕送りをしてあげないと。

 卒業してお医者様になるまで六年か。長いなぁ……。



 悩みが尽きぬまま週が明け、朝井様と約束の日が来てしまった。

 とりあえず多めの着替えとお泊まりセットをスーツケースに詰めて、早朝から朝井様の部屋に来た。ご両親が来る前にこの素敵な住まいに馴染んでおかないと。

「よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしく桜子」

 いきなりの発言にギョッとして身をひいた。

 さ、桜子って。

「そんなに驚くか?」

「と、突然でしたので」

「さあ、入って」

 朝井様は楽しそうに笑いながら私のスーツケースを軽々と持ち上げる。

「ありがとうございます。すみません」

「君も慎一郎って呼んでみて。なにしろ俺たちは恋人同士だ。いつものように〝朝井様〟じゃおかしいからね」

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