アラ還でも、恋をしていいですか?

「ああ、恥ずかしいんだね…若い娘だから仕方ないな。照れなくていいんだよ。大丈夫、おれはいつでも受け入れることができる。なんでも言ってごらん?おれはA社の取締役まで務めた男だ。懐も広いし信頼も厚かった。若い娘の多少のわがままもかわいいものさ」

すらすらとうわ言を述べる章は、周囲の白い目に気づかない。そんななか、静香さんは章を睨みつけてこう言った。

「なに、このじいちゃん。超キモい!もうろくしてんの!?」

心底嫌そうな顔をした彼女は、言いたい言葉を遠慮なく放つ。

「じいちゃんさあ、鏡見てる?どう見ても70過ぎた老人だよね?白髪頭のシワシワヨボヨボ。なにをどう勘違いしたら、アタシがあんたに興味持つとか思えるの?ボケてるの?」

悪いけど、静香さんの言葉には同意しかない。必死に笑いを堪えてしまった。

逆に、章はプルプルと震えながら顔を真っ赤にしていた。

「な…なんだ、この失礼な小娘は!A社の取締役まで務めたおれに向かって。誰にものを言ってるかわかっているのか!」
「でも、今のあなたにA社は一切関係ありませんよね?」

ズバッ、と敬一くんは章の言葉を一刀両断にした。
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