俺様ヤンキーは溺愛王子
「えっ、それって龍基さんの家族に会うってことですか?」
「あぁそういうことだ。」
(いきなり過ぎるって。)
少しでも気遣いができるようになったなと思った私を責めてやりたい。
「っていうかお前、俺をさん付けで呼ぶのやめろ。」
龍基があきれたように私を見る。

(呼び捨てなんかで呼べるわけないでしょうが!)
私は心の中で龍基に怒った。
(冷静に。)
一旦落ち着いてから聞く。
「なんて呼びましょうか?」
「龍基でいいよ。」
「じゃあ龍基くん…。」
私はなぜか恥ずかしくて声が小さくなる。

「まぁそれでいい。俺はお前のこと結菜って呼んでいいか?」
龍基くんが言うので私はこっくりうなづいた。
「じゃあ結菜、また土曜日。いつものところ集合で。」
「わかりました。」

いつものところとは体育館の裏だ。龍基改め、龍基くんは振り返って教室へと帰って行く。
(また頑張らなきゃいけないことが増えたな。)
私はまた本を読み始めたけど内容が全く頭に入ってこなかった。頭の中は龍基くんの家族に会うと言うことでいっぱいだったから。
そんな私を心配そうに見つめるふーくんには当然のように気がつかなかった。
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