Rain or Shine〜義弟だから諦めたのに、どうしたってあなたを愛してしまう〜
母親を見送った後、瑞穂は頬を膨らます。
「お母さんには言わないって言ったのに……」
「それに関してはごめん。でも来てくれて良かっただろ?」
それは否定出来ない。むしろ安心出来たから。
「で、どうする? 実家に帰る? 俺の部屋に来る?」
「……実家に帰る」
「えっ⁈ なんで⁈」
「今度こそちゃんとしたいの。挨拶をして、結婚式をして、籍を入れて、新居を探したい」
「あはは! 確かに瑞穂らしいな。じゃあ週末は俺の部屋に泊まりにきてよ。平日は時々実家に寄るから」
恵介はちゃんと私の意見を受け入れてくれる。ただのわがままな気がして不安になることにも、それ以上に素敵な提案をして安心させてくれるの。そのたびに恵介で良かったと思える。
「それはそうと、恵介に言いたいことがあるんだけど」
「えっ、何?」
「あのカメラ、いつ取り付けたの?」
「あぁ、瑞穂の鍵を借りて、友達に付けてもらった。こういう仕事だし、いろんなところに仲間がいるんだよ」
それは嘘ではないようだ。そう考えれば、恵介が朝から電話やメールで忙しそうにしていた理由がわかる。それにしてもカバンから鍵を抜かれていたことには気付かなかった。
「あともう一つ。恵介、この数日……避妊してなかったよね」
「……あれ、気付いてた?」
「当たり前じゃない。注意しなかった私もいけないけど、これからは……結婚するまではちゃんとしてね。何かあって困るのは恵介も一緒なんだよ。わかった?」
裁判をしないとはいえ、結婚期間と被るような妊娠は良くない。しかし恵介は、自分の心配をしてくれた瑞穂が愛おしく、ついにやけてしまう。
「……善処します。それにしても瑞穂の口から久しぶりにお姉ちゃんっぽい言葉を聞いたな。でも……」
恵介は瑞穂の手を握ると、悪戯っぽく笑いながらその手にそっと口づける。
「これからはそうはいかないよ。俺がリードする場面だってたくさんあるからね。なんてったって俺は、瑞穂をたっぷり甘やかすって決めてるんだ。ほら、何かわがまま言ってみなよ」
恵介の笑顔に触れるたびに、瑞穂はこんなに幸せでいいのかと不安になる。気持ちが通じ合った途端、失くすことへの恐怖が生まれ始めた。
「私ね……普通の幸せが欲しいな……」
その言葉を聞いた恵介は、キョトンとした顔で瑞穂を見つめた。
「好きな人と寄り添って生きて、他愛のないことで笑い合ったり、新しい家族に恵まれたり……いつも安心していられる、そんな普通が一番の幸せな気がするの」
「うん……俺もそう思う。そんな家庭を二人で作っていこう」
「うん……」
あなたと結ばれただけでも奇跡に近いのに、これ以上の幸せを望むのは贅沢な気がしてしまう。
でもね、あなたのそばなら素直になれる気がするの。だって恵介には私の我慢すらお見通し。あなたのそばが一番私らしくいられる場所。
私はどうしたって、あなたしか愛せないことに、今更ながら気付いたの。
「お母さんには言わないって言ったのに……」
「それに関してはごめん。でも来てくれて良かっただろ?」
それは否定出来ない。むしろ安心出来たから。
「で、どうする? 実家に帰る? 俺の部屋に来る?」
「……実家に帰る」
「えっ⁈ なんで⁈」
「今度こそちゃんとしたいの。挨拶をして、結婚式をして、籍を入れて、新居を探したい」
「あはは! 確かに瑞穂らしいな。じゃあ週末は俺の部屋に泊まりにきてよ。平日は時々実家に寄るから」
恵介はちゃんと私の意見を受け入れてくれる。ただのわがままな気がして不安になることにも、それ以上に素敵な提案をして安心させてくれるの。そのたびに恵介で良かったと思える。
「それはそうと、恵介に言いたいことがあるんだけど」
「えっ、何?」
「あのカメラ、いつ取り付けたの?」
「あぁ、瑞穂の鍵を借りて、友達に付けてもらった。こういう仕事だし、いろんなところに仲間がいるんだよ」
それは嘘ではないようだ。そう考えれば、恵介が朝から電話やメールで忙しそうにしていた理由がわかる。それにしてもカバンから鍵を抜かれていたことには気付かなかった。
「あともう一つ。恵介、この数日……避妊してなかったよね」
「……あれ、気付いてた?」
「当たり前じゃない。注意しなかった私もいけないけど、これからは……結婚するまではちゃんとしてね。何かあって困るのは恵介も一緒なんだよ。わかった?」
裁判をしないとはいえ、結婚期間と被るような妊娠は良くない。しかし恵介は、自分の心配をしてくれた瑞穂が愛おしく、ついにやけてしまう。
「……善処します。それにしても瑞穂の口から久しぶりにお姉ちゃんっぽい言葉を聞いたな。でも……」
恵介は瑞穂の手を握ると、悪戯っぽく笑いながらその手にそっと口づける。
「これからはそうはいかないよ。俺がリードする場面だってたくさんあるからね。なんてったって俺は、瑞穂をたっぷり甘やかすって決めてるんだ。ほら、何かわがまま言ってみなよ」
恵介の笑顔に触れるたびに、瑞穂はこんなに幸せでいいのかと不安になる。気持ちが通じ合った途端、失くすことへの恐怖が生まれ始めた。
「私ね……普通の幸せが欲しいな……」
その言葉を聞いた恵介は、キョトンとした顔で瑞穂を見つめた。
「好きな人と寄り添って生きて、他愛のないことで笑い合ったり、新しい家族に恵まれたり……いつも安心していられる、そんな普通が一番の幸せな気がするの」
「うん……俺もそう思う。そんな家庭を二人で作っていこう」
「うん……」
あなたと結ばれただけでも奇跡に近いのに、これ以上の幸せを望むのは贅沢な気がしてしまう。
でもね、あなたのそばなら素直になれる気がするの。だって恵介には私の我慢すらお見通し。あなたのそばが一番私らしくいられる場所。
私はどうしたって、あなたしか愛せないことに、今更ながら気付いたの。