Rain or Shine〜義弟だから諦めたのに、どうしたってあなたを愛してしまう〜

 初めは罵声を浴びせるくらいだった。それから徐々に暴力が始まり、いつしかそれが当たり前のように行われるようになった。

 私がいけないのよ……彼を怒らせるようなことをしたから……。瑞穂は服を捲り、更に増えた痣を見ながらデジカメとスマホの両方で写真を撮っていく。

 本当は一度だけDVの相談センターに電話をしたことがある。でも未だにこれがDVなのか、私が彼を怒らせているせいなのかはわからない。だけど電話口の人から、気になったら写真などの記録をつけるように言われていた。

 見つかればもっと酷い事をされるかもしれない。私がもっとちゃんと家事をやればいいだけよ……そう思うのに、何故か証拠を残そうとする自分がいる。それはきっと恵介のことがあるからかもしれない。

 母から恵介が予備試験に受かったと聞き、その後司法試験に受かったと報告を受けた。

 ただ崇文は恵介の職業を知った時、理由はわからないが怪訝な顔をしたのだ。それが瑞穂は不思議だった。

 弁護士と検察官が身近にいることもあり、証拠の大切さはよくわかっている。

 ただ夫の所業を写真に収めることが良いことなのかはわからなかった。
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