離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
「そうでしょうか? 正直に言いますと、見合いをと言われて気乗りしませんでした。でも、こんなに美しい女性が来てくださってお受けしてよかったと思っています」


私を見つめる津田さんの眼差しが熱くて、心臓が暴走を始める。


「あ、ありがとうございます」


どうしよう。ピンチだ。
嫌われる方法を考えないと。


「すみません、私も足がしびれてしまって。崩してもいいですか?」
「もちろんです」


まずは、清楚なお嬢さまの振りはやめよう。

足を崩した私は、運ばれてきた海老の霞揚げに手を伸ばす途中でわざと箸を落としてみせた。

すると彼はハッとした様子で私を見たあと、なぜか笑いを噛み殺している。


「ごめんなさい」
「いえいえ。霞揚げ、おいしいですよね」
「霞揚げって、なんなのでしょう」


仲居さんが霞揚げだと紹介していったが、本当はどういう料理なのかわかっていない。


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